イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
まさか野菜を値切ってごろつきに飛び蹴りを食らわせる少女が伯爵令嬢とは、街の人々も夢にも思ってないだろう。ここでは彼女は、値切り上手で明るい人気者のただのアディだ。その伯爵令嬢がなぜ値切り上手になったかというと。

 彼女の家は、底抜けの貧乏だった。

  ☆

「おかえりなさい」

 帰る早々、その少年に顔を合わせてしまったアディは、次に言われる言葉を想像してげんなりとなる。その気持ちが顔に出たのだろう。ランディはぴくりと片方の眉だけをあげた。

「ただの買い出しにしては、ずいぶんと薄汚れて帰ってきたのですね。その歳で泥遊びですか? お姉さま」

「ちょっと予定外のことがあっただけよ」
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