イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
アディの家、モントクローゼス家は、伯爵とは名ばかりの貧乏貴族である。地方でかなりの領地を持つ古い家柄にも関わらず、使用人すら最低限しかおらず、伯爵令嬢であるアディが自ら買い物をして食事を作るありさまである。ちなみにランディの担当は庭の草むしりと街の教会で子供たちに勉強を教える教師だ。

「ああ! これでスープにはいつもお肉を入れられるようになるんだわ! 女官となればそれこそ、お給金は帳簿をつけたり家庭教師したりすることにくらべれば格段にいいんですもの! これでようやく貧乏ともおさらばだわ!」

 貧乏ではあるが、そこは古い家柄の伯爵家。志願すれば女官として選ばれることはほぼ確実であった。それでもアディが不安だったのは、彼女に対する貴族間での評判のせいだ。

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