イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「……は?」

「お前は、王太子妃として王宮に上がるんだよ」

「王太子妃……ええええ?!」

 大声をあげたアディを見て、ランディはまたもや大きなため息をついた。

  ☆

「お父様!」

 ふり向いたモントクローゼス伯爵、つまりアディの父親は、愛娘が転ぶように駆けてくるのを見てにこりと微笑む。

「おお、アディ、おかえり。どうだいこの植木。綺麗に刈れただろう? この右に伸びた枝を格好よく残すのに苦労してね…」

 ぜいぜいとアディが息を整える間、モントクローゼス伯爵は惚れ惚れと今自分が刈り込んだ植木に見とれている。彼の担当は、庭木の手入れだ。
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