エレディンの乙女と青龍の守護者
神官の慌てる声とは対照的に、降ってくる声は
冷静だ。

『こんなところに居たのか。きみが乙女だね。』
それは問いかけではなかった。

『私の乙女。』


見上げると、
すぐ近くにきれいな顔があって、
薄い緑の瞳がカティナを映していた。
陶器のように美しい。

おかしなことに、その人は梳けばサラサラと音を立てそうなほど美しい銀髪を、一糸乱れずきちんと後ろで束ねているようだ。そしてその身体は、重さを持たないかのように浮かんでいる。そして、、
「え、、」

『なぜ黄金宮にいなかった。探していた。』
きゅっと口角を上げ微笑みになる。
『会いたかった。』
それはやっと絞り出したような声だった。





その人の身体は、、

「透けてる?!」

首から下が見えないのだ。

手が空を彷徨う。これをどう表現したらいいのか、カティナは両手を口元にあてた。

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