溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
『まぁ忘れられないよな、何度もキスしたんだから』

「なっ、何度もって……! そんなにしていません!」


必死に返したけれど、心臓は早鐘を打っていて全身が熱い。
恥ずかしくて恥ずかしくて、泣きたくなってきた。


『しただろ?』

「さっ、三回だけじゃないですかっ!」

『……ふーん。青山にとって三回は少ないってことか』

「違います‼ そういう意味で言ったんじゃ……!」


いつもの癒し系の要素なんて、微塵もない。
それなのに、意地悪で楽しげな声が鼓膜をくすぐってくる度にドキドキしている私がいて、電話を切ることができない。


『でも、三回目のキスは受け入れていただろ?』

「そんなことっ……!」


否定したかったのに最後まで言い切ることができなかったのは、図星だったから。


強引に唇を奪われた一度目だけならまだしも、そのあとも逃げられなくて……。結果的に、昨夜は三回もキスをしてしまったのだ。

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