極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜
言いようのない圧迫感に、息が止まりそうになる。
それを避けるために必死に酸素を求めれば、唇から漏れたのは甘さを孕んだ吐息で、乱れた呼吸がぼんやりとした頭の奥を刺激する。


体はガクガクと震え、篠原の胸元にしがみついたままの手に力がこもる。
そんな状態で彼を見上げれば、向けられたのは心底満足そうな笑みだった。


「……っ」


その麗しく艶やかな笑みに、無意識のうちに息を呑む。
色気を纏う表情なのに瞳はどこか優しくて、不覚にも胸の奥がキュンと鳴いた。


篠原が律動を始めたのは、それからすぐのことだった。


「やぁっ……っ、いま……っ、む、りぃ……っ!」

「無理じゃないだろ?」


首を横に振りながら必死に訴えれば、彼は相変わらず艶やかな微笑を浮かべていて……。無理だと思っているのに、されるがままに揺さ振られている体がひどく悦んでいるのがわかった。


ドアのすぐ近くで立ったまま、下着をずらされただけ。
前戯もそこそこだったから痛くてもおかしくはないのに、篠原自身を咥えている私のなかは泥濘のようになっている。


それに気づいたことによって込み上げた羞恥と彼の激しい動きが、あっという間に再び私の意識と体を高みへと押し上げた──。

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