極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜

Chocolat,05 骨の髄まで甘く溶ける

視界がゆらゆらと揺れる。
何度も高みへと押し上げられた体は、もうとっくに言う事を聞いてくれない。


ドアの傍で終えた行為にホッとしたのも、束の間のこと。
そのあとは動けなくなった体を抱き上げられてベッドに連れてこられ、再び行為が始まってしまった。


甘い嬌声の隙間で限界だということを懇願しても、それが受け入れられることはない。


「おい、まだ寝るなよ」


楽しげな篠原の機嫌が直ったのは一目瞭然だけれど、彼は私のなかに埋めている自身を抜こうとはしなくて……。綺麗にベッドメイキングされていたシーツは、とっくに皺だらけになってしまっている。


「……なぁ、雛子」


朦朧とする中、どこか不安げな声音の呼びかけに視線だけで応える。


ゆるゆると腰を動かす篠原の律動は、さっきまでよりも遥かに緩やかだけれど──。

「好き、って言えよ」

すでに数回昇り詰めている私には充分過ぎるほどの刺激で、耳に届いた言葉をなんとか理解するだけで精一杯だった。


どちらにしても、不器用な私は、この想いを声に出す勇気はない。


「お前の口から、一度も聞いてないんだよ」


ただ、さっきよりも不安げな顔でピタリと動きを止めた彼は、私の瞳を真っ直ぐ見つめている。
その表情に、胸の奥が締めつけられた。

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