極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜【コミカライズ配信中】
自分の言動が最低だったことは、それなりに自覚はある。


俺の態度の悪化に伴って、雛子も不機嫌な顔ばかりするようになっていき、そのうち彼女の口から零されるのは原稿の催促ばかりになった。
もちろん自業自得だけれど、それがおもしろくなくてまたあんな態度を取っていた自分自身の子ども染みた行為には、後悔と羞恥心しかない。


ただ、過去の恋人たちにあんな振る舞いをしたことは一度だってないし、いつも交際も別れも描かれたストーリーのように綺麗に経てきた。
だから、恋愛経験はきちんとある方だと自負していた。


だけど……。
雛子を前にすると、平静を装う余裕がどんどん剥がれていって、すぐに崩れ落ちる。


今までの恋愛から学んだ感情の記憶や経験は、彼女の前ではなにひとつ役には立たなかった。
そのせいで傍若無人だと思われていたことには、なんの言い訳もできない。


反面、雛子を見ていると創作意欲が掻き立てられて、彼女をモデルにした作品を書きたくて堪らなくなった。


誰かをモデルに作品を書いたことはまったくないけれど、過去の恋愛がなにかしらの参考になっていたことがあったのは否定しない。
それでも、特定の女をモデルにしたいと思ったのは、あれが初めてだった。

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