極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜【コミカライズ配信中】
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雛子の顔を見つめながら、ふっと破顔する。
今の俺がらしくないほどの笑みを浮かべているのは、よくわかっているけれど……。安心したように眠る彼女が腕の中にいるという事実が、言葉にできないような多幸感を抱かせてくれるのだから仕方がない。
俺に衣服を剥ぎ取られて素肌を曝す雛子の細い首にかかっているのは、俺がプレゼントしたネックレス。
ピンクゴールドのチェーンの先に輝く小さなダイヤモンドは、彼女の白い肌の上で存在を主張している。
雛子はあの日、書斎の上にあった箱に入っていたこのネックレスを俺が恋人のために用意した物だと勘違いし、『担当を替えてもらう』なんて言い出した。
その瞬間の感じたのは、彼女のすべてを自分のものにしたいという欲。
自分自身の言動を反省した結果、雛子を俺から解放しようと考え始めていたはずだったのに、いざ彼女の口から先に紡がれると平静を装う余裕を失いかけた。
結果的に誤解は解け、そのまま体を重ね合わせてめでたく付き合うことになったのだけれど……。雛子の前ではロクに想いを伝えられない俺と、意地っ張りで素直じゃない彼女は、つまらないことですれ違ってしまうほどいつも噛み合わなかった。