極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜【コミカライズ配信中】
お互いに素直になれるのは、ベッドの上だけ。


雛子はともかく、恋愛小説家という肩書きを持つ自身のそんな状態に苦笑が漏れることもあるけれど……。彼女の前では余裕なんてすぐに失くすはめになるのだから、もうどうしようもない。


ただ、どんなにかっこ悪くても雛子のことを手放したくないから、せめてベッドの上でだけは甘い言葉を紡ごうと思う。
その度に従順なほどに頬を赤らめる彼女の表情を、何度だって見たいから。


「ん……」

「起きたか」

「……おはようございます」


俺の声に反応した雛子が、まだ眠そうにしながらも微笑んだ。
その瞬間、鼓動が高鳴る。


「……あぁ」


最近は無防備な笑顔を見せたくなることが増えて、そんな時には決まって胸の奥を掴まれたような気持ちになる。そのせいで生返事しかできなかった俺に、彼女はまた小さな笑みを零した。


雛子は自分自身のことを地味だと言うけれど、お堅そうな外見からは想像もつかないほど笑顔は可愛いし、不意に見せる無防備な表情にドキドキさせられることも少なくはない。
ベッドの上では甘く艶やかな声で鳴き、涙を滲ませながら甘えてくる姿なんて堪らなくなる。


そんなこと、彼女には口が裂けても言えないけれど……。

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