極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜【コミカライズ配信中】
「お──」
「だけど、今は……」
眉をひそめた俺の声を制するように、笑みが零される。
ひと呼吸置いて赤らんだままの頬が緩められ、ぷっくりとした唇が再び動き出した。
「龍司さんのいない人生は嫌なので、結婚してもいいですよ」
そして、柔らかな微笑みが向けられた。
「……なんだ、それ」
平静を装って落とした言葉は、震えてしまいそうだった。
それくらい雛子の返事には破壊力があって、盲目な俺は可愛げがない彼女の言い方を可愛いとすら思ってしまう。
最近は素直になって少しは可愛げが出てきたかと思ったのに、雛子はいつだってこうだ。
ここぞという時に、いとも簡単に俺の心をかき乱す。
だけど……こんな風に翻弄されているなんて彼女には絶対に気づかれたくないから、ひそめたままの眉に必死に力を込め続けていた。
「……俺を翻弄しようなんて、十年は早い。まだキスも下手くそなくせに、そんな得意げな顔をするな」
言い終わるのと同時に顔を近づけたのは、これ以上なにか可愛いことを言われてしまったら、今度こそ誤魔化せないと思ったから。
我ながら情けない理由だけれど、胸の内ではずっと焦れたような感情も燻り続けていたせいで、余裕なんてない。
「だけど、今は……」
眉をひそめた俺の声を制するように、笑みが零される。
ひと呼吸置いて赤らんだままの頬が緩められ、ぷっくりとした唇が再び動き出した。
「龍司さんのいない人生は嫌なので、結婚してもいいですよ」
そして、柔らかな微笑みが向けられた。
「……なんだ、それ」
平静を装って落とした言葉は、震えてしまいそうだった。
それくらい雛子の返事には破壊力があって、盲目な俺は可愛げがない彼女の言い方を可愛いとすら思ってしまう。
最近は素直になって少しは可愛げが出てきたかと思ったのに、雛子はいつだってこうだ。
ここぞという時に、いとも簡単に俺の心をかき乱す。
だけど……こんな風に翻弄されているなんて彼女には絶対に気づかれたくないから、ひそめたままの眉に必死に力を込め続けていた。
「……俺を翻弄しようなんて、十年は早い。まだキスも下手くそなくせに、そんな得意げな顔をするな」
言い終わるのと同時に顔を近づけたのは、これ以上なにか可愛いことを言われてしまったら、今度こそ誤魔化せないと思ったから。
我ながら情けない理由だけれど、胸の内ではずっと焦れたような感情も燻り続けていたせいで、余裕なんてない。