極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜【コミカライズ配信中】
苛立ちを抑えながら強引に篠原から原稿を奪って、その勢いで踵を返そうとした時──。

「待て」

彼は短く言って、私の目の前に封筒を差し出した。


「……なんですか、これ」

「新作のプロット」

「えっ……? 嘘っ⁉︎」


慌てて手を伸ばすと、篠原がその封筒をヒョイッと持ち上げた。


「なんでっ……⁉︎」


彼は、それに目を奪われている私にため息をつき、不機嫌な表情を見せた。


「どうだった?」

「なにがですか?」


封筒に視線を遣ったまま適当に訊き返すと、篠原が私の耳元にゆっくりと唇を寄せてきた。


「俺とのセックス」

「なっ……!」


再び、一瞬で熱を帯びていく顔。


「ドロドロに溶けて、気持ち良かっただろ?」


それが一気に全身に広がっていくような気がしたのは、悔しいけれど気のせいなんかじゃない。素直に過剰な反応を見せてしまった私から離れた篠原が、満足げに口元を緩めた。


「なるほど、そんなに良かったのか」


ニヤニヤと笑う彼がムカつくのに、返す言葉を見つけられない。


そんな私に気を良くしたらしい篠原が、胸元に封筒を押しつけてきた。平常心を失いながらもそれをしっかりと受け取ったのは、職業病なのかもしれない。

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