極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜【コミカライズ配信中】
「人としてはともかく……作家としては、とても素晴らしい方だと思います」
前半は精一杯オブラートに包んで、正直な気持ちを伝えた。
実際、作家としての篠原は、担当者としてもいち読者としてもとても尊敬している。
人間性を疑いたくなる本性さえ知らなければ、私は一生“葛城龍司”という人間を尊敬していただろうとすら思う。
真実を知った今は、“篠原櫂”への憧れを失くすことはできないままでも、さすがに“葛城龍司”への尊敬の念なんて欠片もないけれど。
「……おい、それだけか?」
程なくして、篠原が私の顔をまじまじと見ながら訊いた。
「……他にどんな答えを期待されていたんですか? 先生の性格の悪さなら、今日の原稿の件で改めて実感しているところですけど」
さっきの原稿の一件を思い出しながら冷たい視線を向けると、彼は深いため息をついてうなだれた。
「もういい……」
その理由はわからないけれど、肩を落としている篠原の姿になんだか罪悪感が芽生える。
「とりあえず、今日はこれで失礼します」
そんな気持ちを隠しながら、今度こそ踵を返した。
だけど……ドアノブに手をかけた瞬間、私の背中にピッタリとくっついてきた彼によって、またしても邪魔をされてしまった。
前半は精一杯オブラートに包んで、正直な気持ちを伝えた。
実際、作家としての篠原は、担当者としてもいち読者としてもとても尊敬している。
人間性を疑いたくなる本性さえ知らなければ、私は一生“葛城龍司”という人間を尊敬していただろうとすら思う。
真実を知った今は、“篠原櫂”への憧れを失くすことはできないままでも、さすがに“葛城龍司”への尊敬の念なんて欠片もないけれど。
「……おい、それだけか?」
程なくして、篠原が私の顔をまじまじと見ながら訊いた。
「……他にどんな答えを期待されていたんですか? 先生の性格の悪さなら、今日の原稿の件で改めて実感しているところですけど」
さっきの原稿の一件を思い出しながら冷たい視線を向けると、彼は深いため息をついてうなだれた。
「もういい……」
その理由はわからないけれど、肩を落としている篠原の姿になんだか罪悪感が芽生える。
「とりあえず、今日はこれで失礼します」
そんな気持ちを隠しながら、今度こそ踵を返した。
だけど……ドアノブに手をかけた瞬間、私の背中にピッタリとくっついてきた彼によって、またしても邪魔をされてしまった。