旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 宝来部長は長谷川さんの肩をポンッと叩いた。

「遼平、頼んだ」

「え? 俺?」

「そういうの得意だろ」

「しょうがねぇなぁ」

 ふたりのやり取りを見て笑顔を浮かべている佳奈さんが、急に「楽しみだね」と私の顔を覗き込んできた。

 突然矛先を向けられて「え!?」と大きな声を出してしまう。

「あ、すみません……」

 慌てて口を手で覆う。

「吉岡ちゃんイメージ通りだなぁ。すれていない感じがいいね」

「そうよ。だから汚さないでちょうだい」

 佳奈さんは手首のスナップを利かせて、シッシッと長谷川さんをあしらう。宝来部長は目尻を下げ、優しい顔でふたりのやり取りを眺めている。

 ……宝来部長って、こんな優しい顔で笑うんだ。

 思わず見惚れていると、パチッと目が合った。

 わっ!

 勢いよく目を逸らして顔を俯かせる。

 心臓が今日一番の激しさでドキドキと鳴っている。

 宝来部長、やっぱりカッコいいなぁ。芸能人みたい。
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