旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
改めて周りを見てみると、皆もいつもより色味が多く華やかな服を纏っている。
皆素敵だけど、やっぱり成暁さんが一番カッコいい。
密かにそんなことを考えている私の耳元で、「今日も可愛いね」と成暁さんが囁いた。
「ありがとうございます。宝来部長も素敵です」
消え入りそうな声で伝えると、成暁さんは目尻を下げて微笑む。
こんな場所で、そんな優しい目で見ないでほしい。
今日はハーフアップにしているから、耳まで赤くなっているのがバレバレだ。
成暁さんが私の手元を眺めながら言う。
「つけてくれたんだね」
「はい。すごく可愛いです」
「うん。可愛いね」
言い方がものすごく甘い。
これから怒涛の一日が始まろうとしているのに、もうこの時点でだいぶ気力を使ってしまっている。
まさかいきなり成暁さんとの絡みがあるとは……。
「きたか」
不意に成暁さんの声色が変わった。
きた? なにが?
周囲を見回すと、紺色のセットアップで七分丈パンツ姿の女性がこちらに向かって歩いてきた。