旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
綺麗な脚首をさらに際立たせるパンプスに目がいく。お洒落な人は足元まで気を使っているものだ。
年は私と同じくらいに見える。清楚で上品なシフォン素材がとてもよく似合う可愛らしい顔立ちをしていて、にっこり笑った両頬にえくぼがあった。
「成暁さん!」
早足で近づいてきた彼女は、成暁さんのジャケットを掴んだ。
「もう、電話に出てくれないと困るじゃないですか! 完全に迷子でしたよ!」
えっ……。
名前呼びと馴れ馴れしいスキンシップに驚き硬直してしまう。
「あー、悪い。マナーモードにしたままだった」
成暁さんの態度にも違和感を抱く。やけに親密っていうか……。
成暁さんはやんわりと彼女の手をどけてから、「皆、ちょっといいか」と声を張った。
集まった社員たちの前で、女性を隣に立たせると口を開く。
「突然で申し訳ないが、イベントの間手伝ってくれることになった早乙女美織(さおとめみおり)さんだ」
「早乙女です。短い期間ではありますがよろしくお願いします」
お辞儀をした早乙女さんの顎まである黒髪がサラッと揺れる。