旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 簡単な挨拶を済ませて各々持ち場へ戻った。皆特に彼女の存在を気にした様子もない。

 宝来陶苑のブースは周りと比べてもかなり広い。ベルカントホテルの直営店もそれなりの広さだったが、今日展示されている品数の方が圧倒的に多い。

 人の手によって描かれたものだから、一見同じように見えてもひとつひとつ違う。手に取って、これだというものを購入してもらえるのが直接販売の醍醐味だ。

 この絵付けをしたのは佳奈さんっぽいな、とか、これは自分が描いたものだろうかと、推測するのが楽しい。

 佳奈さんと展示物に問題がないかチェックしながら、どうしても気になってしまうのは早乙女さんの存在だ。

「気になる?」

 彼女の姿を目で追っていたところを佳奈さんに耳打ちされて、情けなく眉を下げた。

「……はい。ふたりの仲が良さそうに見えたので」

「さっきのでしょう? 私も思った。そもそも早乙女さんって総務部なのに、どうして手伝うことになったんだろう」

 佳奈さんも知らないとなると確かめる術はない。
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