旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
私の気持ちなんてお構いなしにイベントは賑わいを見せる。話をするのは得意ではないけれど、自分が心を込めて描いた絵付けの説明をすることはできた。
それでもやはりこの異様な雰囲気に慣れることができず、どれだけ時間が経過しても心臓はずっと早鐘を打っている。
それに小一時間前から頭が痛い。でもあとちょっとだし。
まもなくイベントが閉場する十九時になる。客足が減り、皆の顔にも疲れの色が滲んでいる時だった。
「あれ? 香澄ちゃん?」
名前を呼ばれて顔を上げると、目に映った女性ふたりの姿に息を呑む。
「やっぱり! うわぁー! 久し振り! 何年振り!?」
「高校の時以来だから、八年振りじゃない!?」
ぱあっと顔を輝かせたふたりとは対照的に、私の顔は引きつり、どんどん胸が息苦しくなっていく。
「ちょっと! なんか言ってよ!」
私の肩をドンドンと叩き、楽しそうにはしゃぐゆみかの顔はだいぶ派手になった。
「ずっと会いたかったんだよ?」
昔と変わらず、ふんわりと微笑む癒し系の祥子(しょうこ)はあまり変わっていない。
ふたりとは高校に入って出会い、同じ美術部ということもあって多くの時間を共にしていた。