旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「そうでしたか。なにやら深刻そうな雰囲気だったので、なにかトラブルでもあったのかと……」

「まさかそんな。器があまりにも綺麗だったので、どうやって作られているのか真剣に話していたので、険しい顔になってしまったのかもしれませんね」

 すらすらと嘘を並べるゆみかに唖然とする。

 ゆみかは成暁さんの首からかけているネームホルダーに目を留めて、大きく目を見開いた。

「宝来さんって……もしかして、宝来陶苑の……?」

「そうですね」

 成暁さんは、宝来陶苑後継者であることを誇示するような、余裕のある笑みを浮かべた。

 その自信たっぷりの微笑みに、ゆみかも祥子もうっとりした表情になる。

「うちの製品に興味がおありでしたら、本社にて絵付けの工程見学会も開催しておりますので、よろしければいらしてください」

 成暁さんの説明を聞いて、祥子が私に聞く。

「香澄ちゃんが作業しているところも見れるの?」

「ううん。見学会は先輩たちがやってるの」

 絵付師の中には、私以外にも人前に出るのを嫌がる人間はいる。そういう人たちに代わって、佳奈さんのような頼れる人が率先して対応してくれているのだ。
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