旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「顔色が悪いな。ここはいいから休んできて」

「そうはいきません」

「俺の前では強がらなくていいから」

 強引に腕を取られ、成暁さんに促されるままに会場を後にした。ベンチに座らされた後、「ここで待ってて」と言われてひとり残される。

 頭痛はどんどん痛みを増し、吐き気の症状まででてきた。周りの目も気にせずぐったりしていると、頭上に声が落ちてきた。

「大丈夫?」

 頭を持ち上げると、成暁さんが心配そうに眉を下げている。

「はい。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「香澄は謝ってばかりだな」

 言い換えれば、それだけ成暁さんに迷惑ばかりかけているということ。

「ごめんなさい」

「ほら、また」

 呆れたように指摘され、私は肩をすくめた。

「送るよ。香澄の荷物は持ってきたから」

「え!? だってまだ仕事が」

「香澄が倒れたから送るって説明をしたら、特に問題なく解放してくれたけど。それに、もう閉場の時間だしな」

「そんな……」

 責任者が一社員を送り届けるために場を外していいはずがない。
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