旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「話が進まないからおまえは少し黙っていろ」

 宝来部長の言葉に長谷川さんは「ひでぇ」と嘆く。

 会議中はあんなに丁寧な話し方だったのに。

 彼はまぎれもない御曹司だけど、こうして見ると、私たちと何ら変わりないように思える。

「佳奈と吉岡さんには絵付けの実演をしてもらうわけだけど、俺はふたりが絵付けをしているところを一度も見たことがない。念のため確認しておきたいことがあるから、見せてもらえないか?」

 見たことがないって、それならどういう基準で私たちを指名したのだろう。

 佳奈さんは頷いたあと、小首を傾げた。

「それはもちろんだけど、工房にきてもらえるんだよね?」

「ああ。できれば今日がいい」

「え? 今日? これから?」

 佳奈さんは目を丸くした。

 壁掛け時計を見やれば、時刻は十一時半を回ったところだった。会議は朝一からだったので、もう二時間半も経過している。
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