旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 支度を整えてソファで一息ついているところに、香澄が真剣な表情で俺の前に正座した。

「成暁さん、ちょっといいですか」

「いいけど、どうした?」

 香澄は座ったまま、そばに置いてあったキャリーバッグから大きな包みを取り出す。

 そうか。これを隠すために、あえてキャリーバッグを持ってきたのか。

「クリスマスプレゼントです」

 緊張した面持ちで差し出された包みは水色で、白のリボンで飾られている。

 まさか貰えるとは思っていなかったので、驚きで言葉が出てこなかった。

 その様子に香澄は不安を抱いたのか、要らぬことを口にする。

「長谷川さんにも相談に乗ってもらったんです。だから、きっと大丈夫だと思うんですけど」

 遼平だと? なんでそこで佳奈じゃなくて遼平が出てくるんだ。

 あいつの本心はいまだにはっきりしないけれど、多少なりとも香澄に好意があったのは歴然としている。

「一緒に選んだの?」

 思わず低い声が出る。

 香澄は何度か瞬きをして、「いえ!」と大袈裟なくらい首を横に振った。

「私がひとりで選びました。あっでも、店員さんの助言も受けましたが……」

 店まで足を運んだのか。

 面識のない人間と会話することは、香澄にとって大きなストレスだ。

 そうまでして選んでくれたものを早く見たくて、返事もせずに包みを開けた。
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