旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
所狭しに置かれた製品の入ったコンテナを避けながら、宝来部長は私の正面までやって来る。
「残ってもらって悪いね。早速見せてもらえる?」
「はい」と頷いて椅子に腰を落とす。
事前に佳奈さんからどういったものを披露するか聞いていたので、下準備はできている。
右手で絵の具をゆっくりとかき混ぜながら左手で器を持ち、手にすっかり馴染んだ筆を取る。一度目を閉じて心を落ち着かせてから、いつものように生地に絵を描いた。
描き終えてから小さく息を吐き、「こんな感じです」と後ろを振り返る。
宝来部長は私の手にある器から目線を反らすことなく、静かに呟いた。
「すごいな」
そのたった一言が嬉しくて、胸に熱いものが込み上げる。
「ありがとうございます」
頭を下げると、宝来部長は隣の席に腰を下ろした。近づいた距離に鼓動が速まり、そんな気持ちの変化を誤魔化すように口を開く。
「……他にも見ますか?」
「いや、これだけで十分」
「そうですか」
だったら、なにか言ってくれないかな。
宝来部長は先程から器を見つめたままなので、こちらは手持ち無沙汰で困ってしまう。