旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
帯による圧迫がましになるので、座っている時より胸元がずっと楽だ。
ご飯もたくさん食べちゃったし、苦しいなって思ってたんだよね。
新鮮な空気を吸い込むと、黙ったまま歩みを進めていた宝来部長がふっと笑う。
「緊張した?」
こくりと、大きく頷く。
「すまなかった。でも、下手に交際を申し込むより、こうした方が信頼してもらえると思ったんだ」
「えっと……すみません。どういうことなのか、まだよく理解していなくて……」
中庭の中心にある噴水に目を泳がせながら言い淀む。
噴水を囲んだ緑の植木の間には、季節の花が植えられたプランターが置かれていた。
足を止めた宝来部長が、私の顔をまじまじと見つめてきた。
「理解していないって、どの辺りのことを言っているのかな?」
どの辺りのこと……? って、どういうこと?
そんなことを言われても、余計頭の中がこんがらがってしまう。