旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
眉を下げて首を傾げる。
「俺は君が好き。それは理解している?」
私は首を傾げたまま硬直する。
そんなあっさり好きって言われても。
「本気ですか?」
「もちろん」
「……一昨日初めて言葉を交わしたばかりですよね」
「確かに話をしたのは一昨日が初めてだけど、俺はずっと前から香澄のことを知っている」
さらりと呼ばれた名前と、思いもよらぬ事実に動揺が隠せない。
「ど、どういう、ことですか?」
「佳奈は香澄の教育係だっただろう? 素直で何事にも真っ直ぐで、一生懸命で真面目な後輩ができたと、佳奈はいつも言っていて、耳にたこができるほど聞かされているうちに、どんな子なのか気になるようになった」
佳奈さん、そんな風に思ってくれていたんだ……。
親しい友人も作らないようにしていて、それは職場でもいえることだから、佳奈さんとも一定の距離間を保つようにはしていた。
だから愛想がない、可愛げのない後輩だと言われても仕方ないと思っていたのに。