旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 成暁さんも、まさか私がファーストキスすら済ませていないとは思っていないだろうなぁ。

 洗濯と掃除をして、撮り溜めていたドラマを見ていたら時間はすぐに過ぎていく。

 そろそろ着ていく服を決めないと……。

 外に出掛けることがほとんどないわりには、クローゼットの中は充実している。

 可愛い服や綺麗なものは好き。見ているだけで心が満たされるから、たまにこうしてクローゼットの中を眺めたりする。

 美形で大人な男性の隣に並ぶのだから、きちんとした恰好をしないと恥をかいてしまうし、かかせてしまう。

 悩んだ末、白いシースルーのトップスに、綺麗な色味のターコイズグリーンのフレアスカートを選んだ。膝上なので歩くたびに裾がふわっと揺れる。

 上品さを出すために靴とバッグはベージュにしよう。

 玄関の姿見鏡と睨めっこしていたら、出掛けていた叔母さんが帰ってきた。

 なんてタイミング、と焦りながらも平静を装う。

「あ、おかえりなさい」

「ただいま。どこかに出掛けるの?」

「うん。成暁さんと」

「あら~そうなの~」

 叔母さんの声が楽しそうに揺れる。
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