一期一会
「親睦を深めるための合宿らしいけど、ちょっとダルいよな」

会話が変わってくれて、私はこっそりホッと胸を撫で下ろす。

話を逸らしたついでに。
この学校は入学してすぐに親睦を深めるための一泊二日の合宿があるのだ。
服装は常に学校のジャージ。
ハイキングとか飯盒炊飯などをやるようだ。

まだ友達のいない私は考えただけで今から憂鬱な気分になる。


「西野って話してみると話しやすいし、合宿の時には絶対出来るって」

「ありがとう……。コミュニケーション能力の高い中原君に言われたら出来る気がしてきたよ……」

「ハハッ、買い被りすぎだって。ってか、そんなコミュニケーション能力高い?」

彼は少し照れながら笑った。


それから私は朝の予鈴がなるまで彼に励まされたことでもあり、さっきまでの不安は一切忘れ安心しきって中原君との会話を楽しんでいた。




一部の女子が、私を冷ややかな目で睨んでいることにも気付かずに。
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