一期一会

「西野。今日は夜、バイト?」

一限目の放課を告げるチャイムが鳴り、席を立とうとしたら中原君に声を掛けられた。

「ううん。休みだよ」

「じゃあ、また電話していい?」

「うん……」

「じゃあまた九時な」

「うん……」


また電話の約束しちゃった!

心を踊らせながら成実ちゃんの席に行くと、


「瑞季、放課はこっちに来てね。私からは絶っ対に行かないから」
「私も同じく」


デスヨネー。

やっぱり最悪な席だ。

それにしても水族館も楽しみだな…………あ!

服はなにを着ていこう!?

約束は休みの日だから私服だ。

カラオケの時も休みの日だったけれど今度は二人きり。

あぁ、制服ってなんて素敵でラクチンな服なんだろう……。

平日ならこんなに悩まなくても良いのに……。




私はその日の帰り道で本屋さんに寄り、ファッション誌を読み漁る。

ミニスカはアウトだな。
男子受けが良いのは清楚系って書いてある。
って言っても中原君の好きなタイプがわかんないけどね……。


家に帰るとクローゼットを漁った。

清楚っぽいのはワンピースかな……。
でも私、スカート系が少なすぎる!


悩んでいたらあっという間に日は沈んでいた。
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