一期一会
そして夜九時前。

前回同様、お風呂に入って戦闘態勢万全で電話を待つ。
今回も一コール目が鳴り止む前に通話ボタンを押した。


『相変わらず、速』

今回も言われてしまった。

「反射神経は弟とゲームやって無駄に鍛えられてるもん」

『成る程』

電話の向こうからは納得した言葉とクスクス溢れる笑い声。


今日も他愛も無い話をしていた。
すると途中で中原君がとんでもない爆弾を投下した。


『ねぇ。いつ呼んでくれるの?』

「え?」

『名前』

「え??」

『俺の方が仲良い筈なのに、アツヒロのこと名前で呼んでんじゃん。俺のことも名前で呼んでよ』


えーーーーーーーーーーーーー!?!?


「あ、あれは最初の頃、苗字わかんなくて、名前で呼び始めたら、ずっとそのままなだけだよ!?」

『前に会った、ユウマってヤツも呼び捨てだったけど?』

「そ、それは小さい頃から呼んでたし!」

『じゃあ俺のことも今から呼べば良いんじゃね?』


えぇぇぇえっ!?!?
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