一期一会
「だめ!見ちゃダメ!!」


不意打ちすぎる!
顔、絶対ヤバイ!

携帯を奪おうと手を伸ばすと、彼は携帯を持っている手を私が届かない位置まで持ち上げた。


「ヤーダ」

中原君は意地悪そうに口の端を上げた。

私は諦めずにぴょんぴょん跳ねて奪おうとするが、一五二センチのチビな私が一八〇センチの彼に届くはずもなく……。


「うー!卑怯!届かない!」

「諦めろ」

中原君は面白そうに笑っている。

すると突然中原君は携帯を持つ手を上げたまま、反対の腕も上げて携帯を操作し始めた。


「写真の瑞季、耳まで真っ赤」


どうやら先程の私の写真をチェックしているようだ。
私はその間も彼の動きを阻止しようと飛び続ける。


「消してっ!絶対不細工な顔してるからっ!」

「可愛いから大丈夫」




は?
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