一期一会
「傘あった。あ。これどう?」

売店に着くと傘を発見。
中原君が取ったのはペンギンのイラストが入っている可愛らしい傘だった。

「あっ可愛い!」

「言うと思った。じゃあコレな。買ってくるから外で待ってて」

「自分の分はお金出すよ?」

「良いから、外で待ってて」

ここまで言われたら断るのも失礼かな……。
中原君の好意に甘えてお店の外で彼を待つことに。


「お待たせ」

「ありがとうーー……あれ?」

傘のお礼を言った後、おかしなことに気付く。

「一本?」

だって彼の手には傘は一本しかない。

「あぁ。俺の家はすぐそこだから一緒に入っていけば良いから。俺は少しの距離なのに傘二本も買うのお金勿体無いし」

確かに駅まで遠くないし、売店の物は無駄に高いけどもっ!


「雨もひどいし、帰るか」

中原君は笑顔で言った。


何で貴方はそんなに余裕綽々なんですか。
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