一期一会
「アルバムの持ち主が見せたくないんだって~」

その隣にいた女子が私を馬鹿にしたように笑いながら言い放つと、周りの女の子達もつられるようにクスクス笑う。

私に冷たい言葉を吐いた女子は、勝ち誇ったような顔をして私を見ていた。


何がそんなに可笑しいのだろうか。はぁ……

心の中で溜め息をついてから私は笑顔を無理矢理貼り付ける。


「そっか。ごめんね」

そう言って私は踵を返し、自然に立ち去ろうと教室のドアへと歩いて向かう。

周りに気付かれないよう、騒がれないように立ち去ろう。なんてこんな時にも他人のことを考えていると、


「ブスが中原君に付きまとってんじゃねーよ」


背中から聞こえた言葉にやっぱりかと納得すると、またクスクスと笑い声が聞こえた。
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