極上御曹司の愛妻に永久指名されました
「お前、ずっとしかめっ面。ドレスが泣くぞ。これから小春のお祝いやるんだし、もっと笑ったら?」
「……慣れないことが多くて戸惑ってるの」
そもそも小春と友達じゃなかったら、風間達と一緒に旅行なんてしなかったし、こうして話をすることだってなかっただろう。
彼らは私とは違う世界の住人だ。
「何も考えず楽しめばいい」
風間がそうアドバイスするが、私は根っからの庶民。
「ドレスよりもジーンズにTシャツの方が落ち着く……!!」
本音を口にすれば、風間の顔が突然接近して唇を奪われた。
それはほんの一瞬の出来事で、頭の中は真っ白。
「真野は何でも考え過ぎなんだよ」
何が起こったか頭の中で整理している私を見て、風間はどこか楽しげに笑う。
「な、な、な……」
あまりに動揺して言葉が出ない私を風間はからかった。
「いつから失語症になった?」
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