極上御曹司の愛妻に永久指名されました
お姉ちゃんは善意で人に優しくはしない。
「いいよ。今そんなお腹空いてないから」
素っ気なく断って電話を切ろうとするが、姉は諦めない。
『ちょっと待って、あんた今風間っていう恋人のところにいるんでしょう?近況を聞かせなさいよ。昨日家に帰ったら、お父さんやお母さんもあんたのこと心配してたわよ』
いや、私よりも寧ろお姉ちゃんの心配をしてるのでは?
そう言い返したくなったが、グッと堪えた。
姉には関わりたくないけれど、今逃げたらきっとしつこく電話をかけてくるだろう。
両親に恭一のことは姉には喋るなって言っておけばよかった。
「……わかった。どこのカフェにいるの?」
溜め息交じりに聞けば、姉はどこかご機嫌な声で答える。
『あんたの会社の隣のビルにあるカフェよ」
わざわざオフィス街に来るなんて……。
姉はただ買い物で来たわけではない。
最初から私に会うつもりだったのだ。
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