極上御曹司の愛妻に永久指名されました
姉の高級志向にも困ったものだ。
ハーッと息を吐くと、姉と一緒にタクシーを降りてホテルの四十六階にあるイタリアンの店に向かう。
恭一は四十五階のお寿司屋さんだから、顔は合わせずにすみそう。
姉と食事をしているのを知ったら、彼はいい顔はしないに決まってる。
なぜなら、恭一は姉が黒沢さんの元カノだと知っているから。
すでに予約してあったのか、店の奥の個室に通された。
「ねえ、こんな高級なところ、お金は大丈夫なの?」
姉は定職につかずふらふらしていて、住んでいるマンションも今付き合っている彼氏のもの。
他にもブランド物を買ってくれるパトロンもいるみたいで、優雅な暮らしをしている。
声を潜めて姉に確認すれば、「大丈夫よ」と言ってフッと笑い、テーブルについて慣れた様子でメニューを見る。
私も席に着くと、窓の景色を眺めた。
恭一のマンションから見えるのと同じような景色が見える。
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