極上御曹司の愛妻に永久指名されました

シャンパンが運ばれてきて店員がグラスに注ごうとしたが、姉が止めた。
「あとは私がやるから」
店員が下がると、姉はシャンパンをグラスに注ぐ。
普通なら自分で注ぐなんてことしないのに、そんなに私とふたりきりになりたかったのだろうか。
黒沢さんと付き合わなかったから、文句を言われるとか？
窓から見える景色を眺めながらそんなことを考えていたら、姉に声をかけられた。
「はい、あんたの分」
「私はいいよ。あんまり飲めないし」
苦笑いして断るが、姉は引かない。
「乾杯だけよ」
口元に笑みを浮かべ、グラスを私の前に置く彼女。仕方なくグラスを手に取れば、姉もグラスを手に持って上に掲げた。
「御曹司の恋人に乾杯」
姉は微笑んでいるが……その言葉に悪意を感じた。
今更後悔しても遅いけど、食事をせずに帰りたい。
シャンパンを口に運べば、炭酸が喉で弾けて気持ちよかった。