極上御曹司の愛妻に永久指名されました
予約って何?
パリまで来たのに買えないの?
私の語学力では詳細がわからない。
しばし啞然としていたら、聞き覚えのある声が背後からした。
ネイティブのような流暢なフランス語。
その声にハッとして振り返れば、風間が柔らかな笑みを浮かべ店員と話している。
早口で彼が名乗ったくらいしかわからなかった。
「こちらへどうぞ」
風間がこの店の得意客だからなのか、それとも彼のキラースマイルにやられたのか、店員は奥にある別室に案内する。
ポカンとする私の肩を風間がポンと叩いて促した。
「ほら、行くぞ」
「ねえ、小春は放っておいていいの?」
声を潜めて聞けば、彼は平然とした様子で返す。
「小春には尊がついてるから問題ない。それに、俺もちょっと買い物があるんだ」
こいつも気を利かせて長谷川とふたりきりにさせたのかな?
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