【短】碧くんしか見てないよ
見たい。
見たくない。
見たい。
見たくない。
見たいけど、見たくない。
「…これが矛盾ってやつか」
「なに言ってんの和華?っあ、青木先輩ナイスシュート~!!」
結局、見に来たし。
まあ、急に「行かない!」とかモモに悪いし…ね。
「…わたし、青木先輩に告白しようかなあ」
モモが突然つぶやいた。
「いきなりだね」
「だって、ずっと見てるまんまじゃつまんないんだもん」
「なにその理由」
わたしはそうつっこみながら、自分を重ねた。わたしも保健室に向かったとき、同じことを思ったからだ。
「今日の部活終わりに告白する!!」
言い切ったモモ。
「はやくない!?」
「思い立ったらすぐ行動したほうがいいじゃん!」
「モモなら大丈夫だよ」
「なにそれテキトーっ!…って和華、どこ見てるの?」
今度はモモに突っ込まれた。それもそのはず。わたしの視線はサッカーコートではなく、校舎のほうに向いていたから。
そこではじめて気がついた。無意識のうちに、碧くんを見ていたことに。
碧くんが、校舎のほうへ向かっているのだ。
うそ、わたし、ずっと碧くんのこと、見てた?
見ないように、してたのに。
見ないように意識してたのに、無意識に見てるとか、どんだけよ。