【短】碧くんしか見てないよ


「………っ?」


階段をのぼっている碧くん。その後ろを気づかれないようにつけているわたし。その先には、わたしたちの教室がある。


ああ、教室になにか忘れ物をしたんだ、きっと。


そう思ったのに。


碧くんは自分の教室を通りすぎて、また、階段をのぼった。


いったいどこ行くの?


この上は、各教科の先生たちの準備室がある。


わかった!碧くん、担任に用があるんだ。碧くんのクラス担任は、数学の先生だもん。この上には、数学準備室があったはず。


って、碧くん、のぼるのはやすぎだよ!


ここはサッカーコートじゃないのに!!


待って──!


碧くんに追い付こうと階段を二段飛ばしでのぼっていると、誤って足を踏み外し、右足首をくじいてしまった。


「いったあ…」


って、痛がってる場合じゃない!こんなのへっちゃら!


気を取り直して、階段をのぼり進める。


…って、碧くん!?


まだのぼるの!?


わたしの予想はことごとく外れて、碧くんはさらに上に──!


待ってよ、碧くん!


…って、この上って屋上しかないんじゃなかったっけ──!?


「っ!!!」


バッ!と止まったわたしの、足。驚きの声も、出ない。


だって…角をまがったその先には──碧くんが、立っていたから。


「…ほんと、だったんだ」

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