この声が聞こえるまで
「今だけはお姉さんに免じて話さない。けどいつまでも現実からは逃げれないよ。」

それだけ最後に言い残しもう一人の私は消えた。

暗闇の空間に私と暁だけが取り残される。

この空間に音もなければ色もない。

何故、相手がハッキリと見えているのか不思議なくらいだ。

ただ沈黙だけが時間を蝕んでいく。

どちらが口を開く訳でもなく目を合わせる事すらしない。

この状況を作り出しているのは間違いなく私だろう。

口を開いても声がでない、何を伝えたいのかすら分からない。

「結…」

先に口を開いたのは彼だった。

暁に名前を呼ばれるのはいつぶりだろうか?

私が名前すら呼ばせなかったから聞くのは本当に久しぶりだ。
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