10日間彼氏
彼のカッターシャツからは、石鹸の甘い香りがする。

観覧車は、1番上まで行きゆっくり下がっていく。

「このまま地上に降りなければずっと一緒にいられるのにな」

彼はそう呟くと、やっとこちらへ顔を向けてくれた。

だけど、その表情からは感情が読み取れない。

「他の男とも観覧車乗ったことある?」

「無いよ。だって私は誰とも付き合ったことないもん。青くんが初めてだよ」

「ほんとかな、女の子はみんなそう言うんだよな」

「そんなこと、言わないで」

彼のからかうような言葉に俯いてしまう。
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