お酒はハタチになってから
「好きです」

思ったよりも、短くストレートな言葉に顔を上げた。

「あのね、」

「わかってます。俺はまだ未成年だから」

「うん」

実際、5つも離れている。こんなの、現実的じゃない。

「でも、来週の誕生日で二十歳になる」

それも、知っていた。私はずっと前に教えてもらった誕生日を、いつまでも覚えていた。
プレゼントをあげたことはないけれど、思い出したという体裁を繕って、去年は店でデザートを注文したのを思い出す。

それでも、わずかに残った理性が素直に頷くことを許さない。

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