Snow Doll ~離れていても君を~
「今、何をしていた?」
いつの間にか眼鏡を外していた如月先輩がゆっくりと近づき、私を尋問するかのように冷えきった目つきで見下ろしてくる。
どのことを言っているんだろう。
抱きしめられていたこと?
答えを迷っていると、春馬君が助け船を出してくれた。
「優希奈さんはお兄さんと、ただ会ってただけじゃないの?」
「そうなんです。それに兄は、蒼生高の一番悪そうな人から私のことを助けてくれて」
「悪そうな人?」
訝しげに如月先輩は首を傾ける。
「目つきが悪くて灰色の髪の人です」
「ああ、影島か」
やっぱり、知っているんだ。
桜花にまで顔と名前が知られているなんて、相当上の立場にいる人間なんだろう。
如月先輩と同じでトップの座という可能性が大きい。
「悪かったな、守れなくて。目を離して、済まなかった」
意外なことに、先輩はしおらしく謝ってきた。
「ほんとにね。俺も優希奈さんと一緒に行けば良かった」
「ごめんなさいね、ユキ。龍臣は本に目がなくて、さっきもユキの存在を忘れて本を探し回っていたらしいの。今回は連れ去られなかったから良かったものの……」