Snow Doll ~離れていても君を~
「いいの。大丈夫。兄が助けてくれたし」
「そうね……でも。蒼生高にユキのお兄さんがいるからって、油断しないでね。あの場所は怖い男達の塊なんだから」
「……わかりました」
「ねえ、海里君」
ふと春馬君が、ひたすら無言を貫く海里へ視線を向ける。
「怒りで黙ってしまうほど、ショックだった? さっきのラブシーン、お似合いだったよね」
「……別に怒ってない」
そっけなく答えた海里はポケットに片手を突っ込んだまま顔をそむける。
「わかりやすいなぁ」
春馬君は肩を震わせて笑う。
どこがわかりやすいのかと思うけれど、付き合いの長い春馬君には海里の感情が手に取るように理解できているらしい。
「春馬君、あのね。誤解してるみたいだから言うけど、あれはラブシーンなんかじゃないから」
「そうなの?」
「兄は心配し過ぎると、スキンシップが過剰になることがあって」
「ふーん。兄妹愛には見えなかったけどなー」
「海外に留学経験があるから、挨拶がわりみたいなものなの」
「挨拶がわりねぇ……」
春馬君の普段はぱっちりした大きな目が、今は呆れて半分くらいになっている。全然信じていないようだ。