Snow Doll ~離れていても君を~
「優希奈ちゃん、この曲好き?」
教室の真ん中の私の席まで歩いてきた小野寺君は、今流行りのアーティストのアルバムを渡してくる。
「えっ、私、すごい好き……! 買おうか迷ってたんだよね」
「良かったら貸すよ」
「いいの? MV付きだし嬉しい。小野寺君、ありがとう」
「理希でいいよ。旦那さんには怒られるかもだけど」
悪戯っぽく小野寺君──理希が笑う。
「旦那さんじゃないし……」
ちらっと彼の方を確かめると、海里は後ろの席の椎名君と話をしているところで、こちらには特に注目していなかった。
昼休みも一緒に話すうちに、理希とは不思議と気が合うことに気づく。
好きな音楽や、好きな食べ物、苦手な食べ物がかなりの確率で似ていて。
しまいには血液型がB型というのまで一緒だった。
私達は周りから“付き合っているのか”と勘違いされてしまうくらい、急激に仲良くなっていた。
けれどその分、海里との距離が遠ざかった気がしていた──。
廊下で理希と二人、肩を並べて歩いていたとき。
教室の方から来た海里とすれ違う。
一瞬、目があったのに、すぐにそらされ軽く傷ついた。