Snow Doll ~離れていても君を~
ふと、ツリーの下に、椿高の生徒達が集まってきた。
その中心にいたのは、遠目からでもわかるモデルのような美人で──。
「──あの女だ」
低くつぶやいた如月先輩の目が妖しく光る。
「挨拶をしてこよう」
その言葉を受け、私達桜花高は全員、如月先輩の後に続く。
この場所にいる全員、イルミネーションより椿の姫を見に来たのではと疑いたくなるほど、彼女一人に注目していた。
時々、私の方にも視線を感じたけど、きっと男子の中に女一人が混ざっているから珍しいだけなのだと思う。
10人ほどの生徒達に囲まれ、長い髪を肩に垂らした椿の姫は姿勢よく佇んでいた。
モデルか女優かと思うほど、華やかなオーラがある美人。
やや気の強そうな、自信に満ち溢れた瞳がこちらへ向けられる。
「桜花……?」
私達が近づいてきたことに気づき、傍らにいた男二人が彼女を守るように前へ出た。
私の隣にいる海里は、特に椿の姫に見惚れるということはなく無表情で立っている。
「椿の姫。話がある」
「話?」
如月先輩の呼びかけに椿の姫は首をかしげ、緩やかに波打つベージュ系ブラウンの髪をさらりと肩へ流した。
「桜花に来ないか? もちろん、ただでとは言わない」