Snow Doll ~離れていても君を~
「……ごめんなさい。悪いけど、今は桜花とは手を組めない」
目を伏せ、椿の姫は如月先輩の誘いをはね除けた。
きっぱりと断られるとは思っていなかったようで、先輩は言葉を失っている。
そこに蒼生高の人達が現れ、一人が椿の姫のそばに立った。
「残念だったな。椿の姫は先程、蒼生と契約を結んだ」
低く告げた灰色の髪の男──影島が不敵に笑う。
「何……?」
如月先輩の表情が険しく、悔しげなものに変わった。
もうすでに、蒼生高が手に入れていたなんて。
一体どんな取り引きをしたのだろう。
「だが。蒼生は、桜花の姫も手に入れたいと思っている」
え、私……?
みんなの視線が一斉に私へと集まってくる。
「椿の姫も桜花の姫も、欲しいだと? 欲張りだな、蒼生高の人間は」
「知らないのか? 今、この辺りの高校で噂になってるのは、桜花の姫だ。どこの高校も一番に狙っているぞ」
私を一番に狙う……?
こんな、取り柄もない平凡な女なのに、どうして?
「……なるほどな。ヤツが欲しがっているからか」
如月先輩は余裕を取り戻した様子で、不敵な笑みを見せた。
「いいだろう。次に賭けるのは俺達の姫。桜花が負けたら、姫をお前達にやるよ」