Snow Doll ~離れていても君を~
「蒼生、いつの間に椿と契約を結んでいたんだ。どんな手を使って椿の姫を落とした……?」
不可解な様子で顎に手を当て考え込んでいる。
椿の姫のことで頭がいっぱいで、私のことはすでに眼中にない様子。
そんな如月先輩に春馬君が声をかける。
「ねえ、龍臣。椿の姫を手に入れたいってことは、優希奈さんのことはもういいの?」
「ああ、好きにすればいい。今までどおり優希奈を守ること。それを忘れさえしなければな」
「そっか、もう龍臣の女じゃなくなったんだ……。良かったね、海里君」
春馬君が海里へ目配せをした。
「ただし。わかっているとは思うが、手は出すなよ? 蒼生は、綺麗なままの姫をご所望だからな」
「うわー、軽く拷問だね、それ」
海里の肩に手を置いた春馬君が、ニヤニヤと楽しそうに笑う。
私は喜んでいいのかわからなかった。
如月先輩にとって、私はただの駒。
最初から、椿の姫を手に入れる機会を得るまでの、退屈しのぎの人形に過ぎなかったんだから。
「ユキ? 帰るまで時間があるみたいだから、他のイルミネーション見に行きましょ」
沈んでいた私の心を掬い上げたのは、ケイだった。
私はうなずき、ケイに手を引かれながら恋愛相談の続きをお願いすることにした。