Snow Doll ~離れていても君を~
もしかしたら、あまりにも椿の姫と差がありすぎて、なぐさめの意味で言ったのかもしれない。
そう、お世辞。
お世辞に決まってる。
「あー、でも海里君、昔から綺麗系より可愛い系が好みだったよね」
「やはり、そうだったのか。海里」
如月先輩が意地悪な目をして楽しげに笑みを浮かべる。
「あの吹雪の日、優希奈を大事そうに抱えて保健室に連れて行ったときから、そうだろうと思っていた」
「なっ、別に大事とか、そういうわけではないですから……!」
焦ったように海里が否定した。
「……ねえ、後ろ」
春馬君が肩を叩き、海里に後ろを見るよう促す。
言われるまま海里が振り返り、私と目が合った。
「っ、……今の、聞いてたのか……?」
「最初っから聞いてたと思うよ?」
「春馬っ。お前、気づいていながら……!」
羞恥に顔を歪めた海里は、一人でどこかに立ち去ってしまった。
すぐに人混みで姿が見えなくなる。
「あー楽しかった。でも、さっきの言葉は本音かもね。子どもの頃の海里君は、今よりもずっと素直だったから」
私へ向け、春馬君は肩をすくめた。