怨返し─赦されない私の罪─


やはり昨日のが堪えているのか、佐々木はやめた方がいいと首を左右に振っていたが、来希の読み通り依奈はそんなような印象は感じられなかった。


その後の放課後を迎えるまで、美苗の姿は見えなかった。保健室といいつつ帰ってしまったのかもしれない。
来希の方はまるでノーダメージ、放課後の事を想像すると楽しみでしょうがなかった。


いよいよ、来希にとって待ち望んだ学校最後のチャイムが鳴った。来希は爆笑しそうな感情の高ぶりを抑えながら、帰り支度をしている清都に伝えた。


「清都、お前が連れてこい。俺はちょっと準備したい事があるんだわ....」


「...お前変わったな。俺は何だか京吾に見えてきた。お前の事、昨日別れた後、何かあったのか?」


そう言われて蘇るあの悪夢。鳥肌がゾゾゾッと立っていく。さっきまで楽しみすぎて忘れかけていたものを思い出し、変な怒りが沸き起こった。


「んなのどうでもいいんだよ...二十分後くらいにこっちに着くように話してろ....分かったな?」


「はぁ...へいへい、分かったよ。今回はお前に任せるわ。俺には殴るしか出来ねぇし、細かいことは京吾がいない今はお前頼りだ。」


来希は自分の鞄を持って、すぐさま教室を出た。教室から下駄箱までは中々に遠く、今まで面倒臭いとしか思っていなかった薄汚い廊下が、まるで新築のように感じ、廊下を走っているのでさえも楽しかった。
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